■「すばらしいアイディア」を待つのは悪いアイディアかもしれない
企業として早い時機に成功することと、ビジョナリー・カンパニーとして成功することは、逆相関している。
・・・すばらしいアイデアを見つけてから会社をはじめることにこだわらないほうがいいのかもしれない。なぜなのか。すばらしいアイディアにこだわっていると、企業が究極の作品だとは考えられなくなってしまうからだ。
■企業そのものが究極の作品である
すばらしいアイデアや見事な戦略が企業の成功をもたらすという見方を捨て、新しい見方を考えなければならなくなった。
・・・こうして私たちは会社を製品の手段としてみるのではなく、製品を会社の手段として見るように発想を転換するようになった。
・・・ビジョナリーカンパニーの創業者はどこまでもねばり抜き、「絶対に、絶対に、絶対にあきらめない」を座右の銘としている。しかし、何を粘り抜くのか。答えは会社である。アイディアはあきらめたり、変えたり、発展させることはあるが、会社はあきらめない。会社の成功とは、あるアイディアの成功だと考える企業家や経営幹部が多いが、こう考えていると、そのアイディアが失敗した場合、会社まであきらめる可能性が高くなる。
まさしく、このジレンマにかかったことがあります。すばらしいアイディアを思いつき実現の可能性がある場合、何が何でも実現したくなるのが人情です。その結果、少ない経営資源は枯渇し、気がつけばメンバーは疲弊の極みにある。そういうこともないではありませんでした。
簡単に言えば、何百年もの時を経て、尚生き続けることのできる人間はいないということだ。けれど、理念、ビジョン、思想は時を越えて生きる”可能性”がある。
成功を自分一代のものとするのか、そうでないのか、そこに違いがある
アメリカの建国者たちが注いだ問題はこうだった
「われわれがこの世を去ったのちも、優れた大統領をずっと生み出すために、どんなプロセスをつくることができるのか。どのような国を築きたいのか。国の原則は何か。その原則をどう運用すべきか。われわれが目指す国を築くには、どんな指針と仕組みをつくるべきか」
これこそまさに、この本の導く回答のひとつに違いないとワタシは思う。
日経平均の先物取引で巨額の損害を出し、イギリスの名門コマーシャルバンク・ベアリングズ銀行を破綻に追い込んだ、ニック・リーソンのお話し。外国人トレーダーの話ですが、投資対象が阪神大震災前後の日経平均がだったので、興味深く読めました。
以下まとめ。下線部は管理人による。
・・・それは狂気の沙汰ともいうべき仕事で利鞘も薄く、大金を儲けるには長い目で見るしかない。といっても、それは午前中とか、せいぜい一日のことである。一般的にいって、一晩をこすことはない。なぜなら、一晩あれば、いくらでも不測の事態が起こりうるからだ。大統領が暗殺されたり、雹が降って穀物が壊滅的な打撃をこうむったり、大地震が起こったり、そういうことはいくらでも考えられる。ポジションを一晩抱えることができるトレーダーはほとんどいないといっていいが、それは儲けが巨大になる可能性がある代わりに、損も莫大になるおそれがあるからである。
投資は適切なリスクをコントロールできているうちは、あくまで投資に過ぎない。
そうでなければ、株を始めとした資産運用をしている人間は、すべからくギャンブルに身を投じていると思われる。
実際に体験して感じるのはパチンコや競馬に比べて、投資が毒にも薬にもなるのは、
一つは自分でレバレッジを変えることによって、際限なくリスクをとることができる点にある。
もちろん、借金をしてギャンブルに投じることも可能だが、
個人の信用力を超えて融資されることない。
そして、もう一つは、損失の確定が行われないこと、にある。
例えば競馬の場合、レースが終わった時点で損益が確定する。オールオアナッシングだが、事前に賭けた金額を超えて損失を出すことはできない。そのかわり、もうけられなかった場合、すべてのカネを失うことになる。
株式の場合は、ある株が10%下落しても、元金がなくなるわけではない。あくまでその日の時点の損であって、あくる日20%上昇すれば利益が出る。その線引きができず、延々と取引を続けている状態に引き込まれてしまう。”賭けている”状態が長くなれば長くなるほど当然のことながらリスクは高くなる。
本書『私がベアリングズ銀行をつぶした』には、こうした投資の魔性的な側面が見事に描写されていると思う。自分への警鐘としても。
ニック・リーソンのその後を記した記事を見つけたので、付記します
・FUTBOL MUNDIAL #593●特集3:ニック・リーソン
ようやくまとめが終わったので、公開していきます。
まずは、序論。
仮説とその反証から、ビジョナリー・カンパニー像を浮かび上がらせます。
■12の仮定とその裏切り
1.すばらしい会社をはじめるには、すばらしいアイディアが必要である
→「すばらしいアイディア」を持って会社を始めるのは悪いアイディアかもしれない。ビジョナリー・カンパニーには、具体的なアイディアをまったく持たずに始められたものもあり、スタートで完全に躓いたものも少なくない。
2.ビジョナリー・カンパニーにはビジョンを持った偉大なカリスマ的指導者が必要である
→ビジョンを持ったカリスマ的指導者はまったく必要ない。彼らのうちの多くは、偉大な指導者になることよりも、長く続く組織を作り出すことに力を注いだのである。
この傾向は比較対象企業のCEOよりも強い。
3.とくに成功している企業は、利益の追求を最大の目的にしている
→ビジネス・スクールの教えに反して、「株主の富を最大限に高めること」や「利益を最大限に増やすこと」は、ビジョナリーカンパニーの大きな原動力でも最大の目標でもない。確かに、利益を追求しているが、単なるカネ儲けを超えた基本的価値観や目的といった基本理念も、同じように大切にされている。
4.ビジョナリー・カンパニーには共通した「正しい」基本的価値観がある
→基本的価値観に「正解」というものはみられない。しかし、決定的な点は、理念の内容ではなく、理念をいかに深く「信じて」いるか、そして、会社の一挙一動に、いかに一貫して理念が実践され、息づき、現れているからだ。
5.変わらない点は変わり続けることだけである
→ビジョナリー・カンパニーは、基本理念をしっかりと維持しながら、進歩への意欲が強いため、大切な基本理念を曲げることなく、変化し、適応できる。
すなわち変わらないのは基本理念である。
6.優良企業は危険を冒さない
→ビジョナリー・カンパニーは「社運を賭けた大胆な目標」に挑むことをおそれない。
7.ビジョナリー・カンパニーは誰にとってもすばらしい職場である
→ビジョナリー・カンパニーは、その基本理念と高い要求にぴったりと「合う」者にとってだけすばらしい職場である。
8.大きく成功している企業は、綿密で複雑な戦略を立てて、最善の動きをとる
→偶然によってうまれたものがある。「大量のものを試し、うまくいったものを残す」方針の結果であることが多い。
9.根本的な変化を促すには、社外からのCEOを迎えるべきだ
→社外からのCEOではなく、育て上げられた生え抜きのCEOである。
10.もっとも成功している企業は、競争に勝つことを第一に考えている
→ビジョナリー・カンパニーは自らに勝つことを第一に考えている。
11.二つの相反することは、同時に獲得することはできない
→ビジョナリー・カンパニーで大切なのは「ORの抑圧」に打ち勝てる、「ANDの才能」である
12.ビジョナリー・カンパニーになるのは主に、経営者が先見的な発言をしているからだ。
→ビジョナリー・カンパニーが成長を遂げたのは、何千もの手段を使う終りのない過程をとっており、質問はその一歩に過ぎない。
■ビジョナリー・カンパニーと比較対象企業リスト
ビジョナリー・カンパニーと歴史的競合企業であったそうでない企業との比較から。オボエガキなので小うるさいことは書かないものとする
ビジョナリー・カンパニーでない企業は有名でない?そんなことはないです。コロンビア・ピクチャーズ配給の映画を見たことない人は少ないだろうし、CAMELのタバコを吸っている人を一度ならず見たことがあるに違いない。CAMELはR・J・レイノルズの商品だ。
| ビジョナリーカンパニー | 比較対象企業 |
|---|---|
| 3M | ノートン |
| アメリカン・エキスプレス | ウェルズ・ファーゴ |
| ボーイング | マクダネル・ダグラス |
| シティコープ | チェース・マンハッタン |
| フォード | GM |
| GE | ウエスチングハウス |
| ヒューレット・パッカード | テキサス・インスツルメンツ |
| IBM | バローズ |
| ジョンソン&ジョンソン | ブリストル・マイヤーズ |
| マリオット | ハワード・ジョンソン |
| メルク | ファイザー |
| モトローラ | ゼニス |
| ノードストローム | メルビル |
| プロクター&ギャンブル | コルゲート |
| フィリップモリス | RJレイノルズ |
| ソニー | ケンウッド |
| ウォルマート | エームズ |
| ウォルト・ディズニー | コロンビア |
ビジョナリーカンパニーようやく完読しました。
印象の強いうちにインデクッスをまとめておこうと思います。
取りまとめは後日、コメントをはさみながら更新していくことにします。
◇どんな企業がビジョナリーカンパニーなのか?
・ビジョナリー・カンパニーと比較対象企業のリスト
・12の仮定と裏切り
◇時を告げるのではなく、時計をつくる
・企業そのものが作品
・すばらしいアイディアを待つのは悪いアイディア?
・カリスマCEO=君主制、ビジョナリーカンパニー=アメリカ合衆国
◇利益を超えて
・「ORの抑圧」をはねのけ、「ANDの才能」を生かす
・調査事例1[メルクの場合]
・調査事例2[ヒューレット・パッカードの場合]
・調査事例3[ジョンソン&ジョンソンの場合]
・調査事例4[ビジョナリーカンパニー基本理念]
・正しい理念はあるのか?
◇基本理念を維持し、進歩を促す
・基本理念と基本理念ではない慣行
・基本理念を維持し、進歩を促す
◇基本理念を維持し、進歩を促すための具体的方法
▽BHAG
・BHAGと偉大な指導者が去った後の停滞
▽カルトのような文化
・病原菌か何かのように追い払われる
・カルトのような文化とは?[再考察]
▽大量のものを試して、うまくいったものを残す
・3Mの事例[ミネソタの突然変異製造機がいかにしてノートンを突き放したか
・してはならないこと
▽生え抜きの経営陣
・経営陣の混乱と企業の没落
▽決して満足しない
・自分自身に対する要求が高い
◇はじまりの終わり
重厚感を引きづったまま、本を置いた。
北方謙三が紡ぎだす世界から、現実に還るまでには必要なのは時間のようだ。
奥州から軍を率いて京都を制圧する。
そんなことが可能だった時代が本当にあったのだろうか?
架空戦記のような設定でありながら、
史実による裏付けが深みを与えてくれる。
北方自身、現代を舞台にハードボイルド小説を書いていた時代から、
時代というもう一つの核を小説に埋めこみたかったといった趣旨の発言をしているそうだ。
小説の世界より200年後。戦国といわれる時代。
大名たちの多くが、京への夢を馳せた時代があった。
上洛という発想に僕は常々疑問を抱いていた。
各地に領地を持つ武家の時代に領地から遠くはなれて遠征する。
戦いの常道から考えれば補給戦が長くなる上洛などという発想は、生まれもしないに違いない。
何が彼らを駆り立てたのか・・・。
そうか彼らにはモデルがいたのだ。
この破軍の星の主人公である陸奥守北畠顕家という先例があったから、
彼らは夢を賭けることが出来たのだ。
話を破軍の星 本編に戻そう。
長征の果て、京都で待ち受ける足利尊氏を撃破する。
しかし、それが朝廷に幻想を抱かせてしまった。
二度目の遠征、それには悲劇的な結末が待っていた。
この時期、これだけの戦果を上げてきた武将(あえてそう呼称する)が他にいただろうか?
にもかかわらず用意されていたのは、似付かぬ終末だった。
実現できなかった浪漫に想いを馳せてみれば。
夢を紡いできた奥州藤原家の流れを汲む一族と、
それを継ぐに相応しい公家出身の武士。
誰もがそこに思いを投影することが出来た。
そういった感傷に浸らせる何かがあったのだ。